昌一に余計な勘違いはさせたくなかった。


「嘘つけ。気分転換だけでここまでしないだろ、お前」


ずっと一緒にいたせいで、嘘はすぐにバレてしまった。


「頑張れよ」


あたしの肩を叩いてそう言い、自分の席へと向かう昌一。


その後ろ姿を見送ってあたしは大きく息を吐きだした。


はぁ。


緊張した。


「昌一勘違いしてるみただけどいいの?」


佑里香にそう言われてあたしは曖昧に頷いた。


「ひとまず好印象だったし、良かったってことにする」


そう答えて、昌一に撫でられた頭に触れたのだった。