グロスにアイライナーにチークにファンデーション。


その他のメーク道具も全部そろえると、総額5万円くらいになっていた。


さすがにこれだけの金額は支払えないだろうと思っていたけれど、マナミちゃんはATMからお金を下ろしてちゃんと支払ってくれた。


なんでも、週3日はスーパーでアルバイトをしているらしい。


「お金あるんじゃん」


そう言うとマナミちゃんはうなづき「万引きはストレス発散のためにやってる」と、教えてくれた。


「お金があるのに万引きするなんて、わけわかんない」


家に戻って自室でメーク道具を広げ、あたしはそう呟いた。


マナミちゃんの万引き方法は手馴れているように見えたし、もう癖になってしまっているのかもしれない。


「まぁ、そのお蔭であたしは1円も支払わずにメーク道具を手に入れる事ができたけどね」


あたしはそう呟いて口もとに笑みを浮かべた。