泣くほど困るのなら、万引きなんてしなければいいのに。


そう思い、内心クスリと笑った。


「そういえばあたし、メーク道具が欲しいんだよね」


「メーク道具?」


マナミちゃんはあたしの苺一句に怯えている。


「うん。○○っていうメーカー知ってる?」


「……知ってる」


「そこのメーク道具をそろえたいんだけど、お金が足りなくてさぁ」


そう言い、わざと大きなため息を吐きだした。


残念そうにうつむいて見せる。


マナミちゃんは目を泳がせてから、あたしへ視線をもどした。


「そのメーク道具を買ってあげるから、動画を消してほしい」


マナミちゃんは消え入りそうな声でそう言った。


「本当に!?」


パッと顔を上げてあたしは目を輝かせた。


「うん。動画を消してくれるなら」


「もちろん! ありがとうマナミちゃん!」


あたしはそう言いマナミちゃんの手を握りしめたのだった。