「想って結構強いんだね」


そう言ったのはカノンだった。


平気そうなフリをしているけれど、その声は微かに震えている。


まさか浩哉が想にやられるなんて思ってもいなかったのだろう。


シンと静まりかえった教室内、不意にクラスメートの1人が拍手を始めた。


「すごいじゃん想!」


そんな賞賛の声も聞こえてきて、拍手は教室中に広がっていく。


あたしたちも気が付けば想へ向けて拍手を送っていた。


アプリからの助言があったとしても、結果的に想が頑張ったのだ。


自分の力でイジメを撃退したのだ。


想は嬉しさに涙を滲ませていたのだった。