沙月がわざわざ昌一と外で話をするなんて、裏があるに決まっていた。


あたしはグッとスマホを握りしめて下唇を噛みしめた。


沙月と昌一は高校2年生に上がってから知り合ったと言っていた。


でもあたしは違う。


もっとずっと前から昌一の事を知っている。


あたしと昌一の間に沙月が無理矢理割り込んできたようにしか、考えられなかった。


「麗衣、大丈夫?」


美世にそう聞かれてハッと我に返った。


「大丈夫だよ」


そう答えるけれど自分の声は少し震えていた。


沙月へ対する怒りに似た感情が湧き上がって来る。


でも、人を好きになるのは悪いことじゃない。


沙月だって悪気があるわけじゃないだろうし、そもそもあたしが昌一の事を好きだと知らないだろう。