でも、思い出すのは昨日の光景ばかりだ。


「ライバルがいるかもしれない」


あたしはついそう口にしていた。


「ライバル?」


佑里香が首を傾げる。


昌一が女子生徒に人気だと言う話は聞いたことがなかった。


ブサイクなわけじゃないけれど、昌一が自分から女子生徒に近づこうとしないから、女子生徒たちもそれをわかって無理に近づいて行かない雰囲気があった。


だからこそ、昌一に気軽に話かけることのできるあたしは特別なのだと、思っていたんだ。


「それって誰?」


美世に聞かれてあたしは教室内を見回した。


幸い、沙月の姿はない。


「沙月」


それでも極力小さな声でそう言った。


「嘘っ!?」


「ちょっと佑里香、声大きい!」