それから元気そうな美世が登校してきて、いつもの風景が広がった。


「今日はやけに昌一のことを気にしてない?」


休憩時間中、佑里香にそう言われてあたしは慌てて視線を戻した。



「べ、別に?」


慌ててそう答えたため、口ごもってしまった。


顔が熱くてそのまま俯く。


「あはは。今更なに隠してるの?」


そう言って来たのは美世だった。


「隠すって、なにを?」


チラリと顔をあげてそう聞くと、美世の意地悪そうな顔が見えた。


「昌一の事、好きなんでしょ?」


あたしの耳に顔を近づけてそう言う美世に、あたしはガタンッと椅子を鳴らして身を引いていた。


大きな音にクラスメートたちからの視線が集まる。


「何言ってるの? あたしは別にそんなんじゃないし」


誰にも聞こえないよう、モゴモゴと口の中だけで説明する。