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「畠平さん、休憩時間のたびに大志をイジメてるみたいだよ」


昼休憩に入った時にそう言って来たのは渚だった。


渚はさっきの休憩時間中教室内にいなかったから、3組に様子を見に行っていたみたいだ。


「そうなんだ……」


あたしは重たい声でそう返事をした。


もし、あたしと克己がイジメ遭うことになったらどうだろう?


そう考えただけで胸がギュッと痛くなった。


克己にイジメられるのはもちろん嫌だけれど、あたしが克己をイジメなければならないほうがよほど辛いかもしれない。


でも、畠平さんに躊躇はみられなかった。


むしろ今までの鬱憤を晴らすように大志をイジメている。


「とりあえず畠平さんに制裁はくわえられないだろうから、あたしたちはいつも通りでいるしかないよ」


もし畠平さんがピンチなら助けてあげないといけないけれど、今のところあたしたちの出番はなかった。