「先生! このままじゃ死んじゃう!!」


あたしは思わずそう叫んでいた。


このまま見て見ぬふりをするなんて間違っている。


「だからどうした?」


田中先生の冷たい声にスッと背筋が凍り付いて行く。


それでもあたしは叫んだ。


「助けてください!」


「それなら、お前が代わりに制裁を受けるか?」


その言葉にあたしは絶句してしまった。


和重のことは助けてあげたい。


間違っているとも思う。


けれど、自分が代わりになることは……できなかった。


そんな勇気ない。


自分が野犬に食い荒らされる場面を想像して、身震いをした。


「この学校では相手に同情するな。そんな無駄なことをするから、ああなるんだ」


田中先生はそう言いグラウンドの和重を指さした。


友人を本気でイジメることのできなかった和重は、体中血まみれでダラリと頭を下げ、動かなくなっていたのだった……。