そのやりとりに心にひっかかるものがあった。


確か、名指しされた相手は本気でイジメを行わないとダメなんじゃなかっただろうか?


不安が胸をよぎるが、見知らぬ男子生徒たちに口出すすることはできない。


友人同士だと言うし、本気のイジメなんてできるわけがない。


「じゃあ、いくぞ」


準備ができたのか、スマホ片手に和重が言う。


「おう」


受け身の体勢を整えで、グッと奥歯を噛みしめる生。


次の瞬間パンッ! と肌を打つ音が響き渡り、生が横倒しに倒れていた。


教室内に悲鳴が響き渡り、あたしも思わず目を閉じた。


「いってぇ……」


そう呟く生の口の端は切れて血が出ている。


たった一発で血が出るなんて相当力が入っていたのだろう。