新・イジメ．COM

あたしたちのやっていることは現実から目を背けているだけなんだろうか？


そんな疑問が浮かんできた時、スマホが震えた。


あたしのスマホだけじゃない、学校内にいる生徒全員のスマホが一斉に震えたのだ。


あたしはビクリと体を撥ねさせ、恐る恐るスマホをとりだした。


イジメ.ＣＯＭからのメールに背中がスッと寒くなって行くのを感じる。


確認せずに消してしまおうかとも思ったが、それこそ現実から逃げるのと同じだった。


大きく深呼吸を繰り返し、勇気をだして画面をタップする。


そこに書かれていたのは今日の命令だった。


《玉本和重（ﾀﾏﾓﾄ　ｶｽﾞｼｹﾞ）が、三ツ木生(ﾐﾂｷ　ｾｲ)をイジメること》


聞いたことのない名前にひとまず胸をなで下ろした。


同じクラスの生徒でもない。


「これ、３組の人だ」


その呟き声は廊下の外から聞こえて来た。


開け放たれた窓から見えたのは畠平さんの姿だ。


畠平さんは同じ３組だから、すぐにわかったのだろう。


「行ってみよう」


あたしはそう言い、席を立ったのだった。