もうお腹が一杯になったのか、3羽ほどのカラスが同時に飛び立っていた。


その隙間から見えたのは……人間の目、だった。


目は大きく見開かれ、驚愕の表情を浮かべている。


それだけでは誰か判断が付かなかったかもしれないが、耳に光る複数のピアスが見えた。


濡れた紙は明るい茶髪だ。


「ひっ」


あたしは小さく悲鳴をあげて克己の腕を握りしめた。


一匹のカラスが場所を移動し、見開かれた目玉をつついた。


目玉は簡単に顔から離れ、そこには真っ黒な空洞が広がった。


カラスはくちばしに佐野君の目玉を加えたまま、その場を飛び立ったのだった。