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あたしと生と麻子ちゃんの3人は屋上へ来ていた。


高校に入学して屋上へ出たのはこれが初めてのことだった。


命令実行のために屋上を使うと田中先生に説明すると、すぐに鍵を貸してくれたのだ。


渚をイジメていた時と同じで、命令に関することなら先生たちは全面的に協力をしてくれるらしい。


屋上のフェンスの向こう側に、目隠しをした状態で生が立っている。


足場はほんの5センチほどの幅しかなく、一歩ずつしか歩く事ができない状況だ。


「端まで歩いて」


あたしは片手に杖を持ち、生に命令をした。


この杖は克己が使っていた物で、先生に言って貸してもらっていた。


杖には克己の血がこびりついていて、見ているだけで痛々しかった。


けれど、これを使う意味はあった。


克己とあたしからの、復讐なのだから。


生がゆっくりと足を前に踏み出す。


目隠しをした状態だから、足元のコンクリートをしっかりと確認してから体重をかけている。


「フェンスを掴まないで」


あたしはそう言い、杖をフェンスの間からさし入れて生の体を押した。