「違う! お前を守りたいからって……」


生の言葉にあたしは動きを止めた。


「嘘だ……そんなの……」


自分の声が情けないくらいに震えている。


「本当だ」


「だって克己は、別れようって言った……」


渚ともいい雰囲気になっていた。


だから、あたしのことなんてもうどうでもいいんだと思っていた。


「それでも、やっぱりお前の事気にかけてたんだろ」


そんなのないよ。


あたしは、克己が自分から進んでボートへ向かって行った光景を思い出していた。


ボートの上で血まみれになって死んでいった2人を見ているのに、関わらず。


「惑わされちゃダメ」


そう言ったのは麻子ちゃんだった。


「ちゃんとイジメないと、真奈美ちゃんが制裁を受けることになるんだよ」


その言葉にハッと我に返った気分だった。