あたしは思いっきり生の頬を叩いていた。


苦しみと憎しみが一気に湧き上がって来る。


「なにすんだよ!」


「命令以外で手出しするのは禁止」


あたしへ拳を振り上げた生に、麻子ちゃんが言う。


生が握りしめた拳を思いっきり机に叩きつけ「くそっ!」と怒鳴る。


あたしはそんな生の頬を続けて3度殴りつけた。


殴れば殴るほど、生への憎しみが増して行くような気がして不思議だった。


「あんたのせいじゃん! あんたが克己を呼んだからじゃん!!」


唾を飛ばして怒鳴りながら、生の頭を何度も叩いた。


こんなの大した攻撃にはならない。


そうわかっていても、やらずにはいられなかった。


「あいつだって自分から望んでボートに乗ったんだ! 俺のせいだけじゃない!!」


両腕で頭を庇いながらそう言う生。


「うそつき! あんたが脅したんでしょ!?」


怒鳴りながら涙が出て来た。


怒れば怒るほど、克己が死んだという事実が胸に湧き上がってくるのだ。