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浜辺から少し離れた場所に確かにボートは浮かんでいた。


生が言っていた通り3人は乗れそうな大きなものだ。


あたしはそれを確認してゴクリと唾を飲み込んだ。


周囲を照らし出してみても誰の姿もなく、監視カメラも確認できなかった。


これなら、本当に脱出することができるかもしれない!


期待に胸が膨らんでいく。


「俺が先に行く」


不意に克己がそう言いゆっくり前に出た。


「克己、危ないかもしれないよ?」


先にボートに乗せるなら生だ。


そう思ったのに「俺は本土までもつかどうかわからない」と、克己が言った。


「こいつ、寮に戻ってからも治療は受けてないんだ。イジメ.COMが原因の負傷では
治療してもらえないらしい」


生がなんでもないように説明をした。