抱きしめて来たのはカメラを見ている連中に怪しまれないためだったらしい。


「今夜?」


「そうだ。今日は水曜日だから先生たちの監視が薄くなる」


「え?」


「気が付いてなかったのか? 水曜日は狙い時だ」


そんなこと初めて知った。


監視が薄い日があるなんて、本当に信じていいんだろうか?


「ボートは浜辺の近くにある。足場も悪くないからすぐにたどり着くことができる」


もし生の言うことが本当なら、今日を逃す手はない。


どちらにしても、いずれ結構するべきことなのだし。


「わかった」


「約束場所と時間は……」