「みてよこれ! 今度はあたしが渚をイジメる番だってさ!」


大声で叫ぶように言い、教室内にアピールする美文。


「あたしの髪の毛をこんな風にした女を、どんな風にイジメてやろうか!?」


狂ったように笑う美文の前に、渚が登校してきた。


まだメールを確認していないのか涼しい顔をしている。


「渚……」


あたしが呟くように名前を呼ぶと、渚が怪訝そうな表情をこちらへ向けて来た。


「なに? 美文どうした? ついに狂った?」


そう言って美文を蔑んだ笑みを浮かべて近づいてくる。


やっぱり、メールは確認していないようだ。


目の前までやってきた渚に、美文はスマホを突き付けた。


「よ~く、見てみなよ!」


そう言う美文と、徐々に青ざめて行く渚。


「嘘、なにこれ。なんかの冗談じゃないの?」


強気で言いながらも、数歩後ずさりをする渚。


「冗談? なに言ってんの? これはね……命令だよ?」