不法侵入を防ぐ目的ではなく、生徒たちが勝手な出入りができないようにと。


これじゃ寮へ戻ることもできない。


あたしは大きく息を吐きだしてその場に座り込んだ。


涙を手の甲でぬぐい、自分の気持ちが落ち着くのを待つしかない。


またあのクラスに戻らなければならないと思うと、重たい気持ちになった。


しばらく動く事ができずにいると、外から人の足音が聞こえてきて顔を上げた。


見ると、畠平さんが先生と一緒に昇降口へと向かってくるのが見えた。


驚いて立ち上がると、畠平さんも驚いた表情をこちらへ向けた。


先生が鍵を開け、2人で中へ入って来る。


「畠平さん、体はもう大丈夫なの?」


顔の腫れは収まっているけれど、口元の傷などはまだ完全には治っていないように見えた。


「本当はまた今日1日はおとなしくしているように言われたんだけど、メールを見て気になって……」


畠平さんはそう言い、あたしの顔を覗き込む。


「泣いてた?」


そう聞かれて、俯いた。