「ねぇ渚、なにがそんなに心配なの? こんな綺麗な学校に試験も受けずに入学できたんだから、少しくらい我慢しなきゃいけないんじゃない?」


正直、あたしみたいに勉強のできない生徒は進学できる学校があるかどうかも不安だった。


そんな中、この学校に拾ってもらえたのだ。


誰もがうらやむ浅川高校の第1号になれるなんて、夢みたいだ。


「上手く行きすぎてると思わない?」


渚の言葉にあたしと美文は顔を見合わせた。


「どういうこと?」


そう質問すると、渚はなにか言おうと口を開いた。


しかしその口からはゆるゆるとため息が吐き出されただけだった。


「ごめん。あたしの考えすぎだと思う」


浮かれているあたしたちを見たからか、渚はそう言って自分の席へと戻って行ってしまったのだった。