もしかして美文だろうか?


そう思ったが、聞こえて来たのはあまり聞き覚えのない声だった。


「吉谷さん、入るわよ?」


そう言われて勝手に鍵が開かれる。


入って来たのは寮の先生だった。


「先生……」


あたしは上半身を起こして先生を見る。


「もう登校しないと遅刻よ? どうしたの?」


あたしの前にしゃがみ込んでそう聞いてくる先生は、やけに優し気に見えた。


「ちょっと、体調が悪くて……」


このまま学校を休むことができれば、今日の命令のターゲットにはならなくて済むかもしれない。


そんな思いが頭をよぎって、あたしはそう言った。


「あら大変。少し検査をしましょうか」


「検査ですか……?」