消してもらうことは難しいかもしれない。


だけど、この場を切り抜けることはできるかもしれないという、期待があった。


あたしは1度顔をあげ、生を見つめた。


生は額に汗を滲ませている。


いくらヤンチャだったといっても、こんな風に土下座された経験はないのかもしれない。


その様子を確認して、あたしは電灯を指さした。


公園に入ったときから気が付いていた。


この公園内にも3つの監視カメラが仕掛けられていることに。


「嘘だろ、見られてんのかよ!」


監視カメラを確認した瞬間、生が青ざめた。


「脅しも、退学の理由になるかも?」


「わ、わかったよ! 消せばいいんだろ!」


生はそう怒鳴ると、慌ててスマホを操作し始めた。


よかった。


これでひとまず生は安全だろう。


「監視カメラに救われるなんてな」


公園から逃げ帰る生を見て、克己はそう呟いたのだった。