そう言って苦い顔を浮かべる畠平さん。


「そんな……」


あたしは驚きで声もでなかった。


あまりしっくりこないカップルだと思っていたけれど、まさか脅されて付き合っていたなんて。


「畠平さんは可愛いから、それでターゲットになったんだね」


「そんな彼氏でも、半年は付き合ってたから少しだけ悲しい気もするけどね」


畠平さんはそう言い、笑った。


一緒にいる間に大志のいい面が見えてきていた可能性もある。


特に付き合い始めが最悪だと、ちょっとしたことでもプラスに捕らえることができるかもしれない。


畠平さんの目には少しだけ涙が滲んで見えた。


「でもよかった。これであたしは解放されたんだから」


そう言って手の甲で涙をぬぐう。


そんな風に前に向きに捕らえられる畠平さんは、ちょっと無理をしているようにも見えた。