あたしは畠平さんの様子を見に医療棟へと来ていた。


今は渚や美文の顔を見ていたくなかった。


「浮かない顔して、どうしたの?」


畠平さんの顔に巻かれていた包帯は解かれて、腫れは徐々に引いて来ていた。


けれど、今でも痛々しい傷痕は残っている。


「ちょっとね……」


そう言って苦笑いを浮かべる。


本当は笑顔になる元気だってなかった。


「学校の様子なら、先生から聞いてる。大志、死んだんでしょ?」


そう聞かれてあたしは頷いた。


気まずくて畠平さんの顔をまともに見ることができなかった。


「死んで良かったんだよ」


その言葉にあたしは目を見開いた。


まさか畠平さんの口からそんな言葉が出るなんて思わなかった。


「あたしはずっと大志のことを憎んでた」


「どうして? 付き合ってたんだよね?」


「だけど、好きで付き合ってたワケじゃないもん。中学時代あいつに着替え中の写真を盗撮されて、脅されて彼女になっただけ」