目の前で人が死んだ。


こんなに衝撃的な死に方、誰も見たことがないだろう。


あたし達は教室へ戻ってきても、呆然としたまま会話もなかった。


時々吐き気を催してトイレに駆け込むクラスメートがいたり、ずっと泣いているクラスメートたちがいたりしたけれど、そのどれにも関心を示す事ができなかった。


大志の血や肉片、臓器はあたし たちにも飛び散って来た。


教室へ戻って来る前に綺麗に洗ったけれど、生臭さはまだ残っている気がした。


すべて夢のようだった。


夢ならいいのにと思った。


でも……これは現実だった。


「おいお前ら、しっかり授業聞けよ」


教卓に立つ田中先生がため息交じりにそう言った。


あんなものを見せられた後でも、授業は普通通り行われていたのだ。


田中先生だってあの現場にいたのに、何でもないような顔をして教卓に立っている。


その神経が信じられなかった。