振り向いた先に立っていたのは短い髪をツンツンに立てて、口にピアスを開けた生徒だった。


見るからに威圧的な存在感を放っている。


「大志……」


畠平さんがそう呟くのが聞こえて来た。


どうやら2人は知り合いみたいだ。


「行くぞ」


「うん。あの、ありがとう」


畠平さんは克己に礼を言い、大志と呼んだその男子生徒と2人で並んで行ってしまった。あたしはその様子を唖然として見つめる。


「まさか、あれが畠平さんの彼氏?」


渚が聞いてくる。


「わからない。でも、手、繋いでたよね?」


美文がそう言った。


信じられないけれど、あの美少女の彼氏はヤンキーみたいだ。


「ま、好みのタイプなんて人それぞれだろ。ほら、行くぞ」


1人ショックを受けていない克己はそう言い、先に歩き出したのだった。