「ありがとう」


畠平さんはくぐもった声でそう言った。


「え?」


「最初に見つけてくれたって、先生から聞いた」


そう言い畠平さんは大きく呼吸を繰り返す。


顔中が腫れているから、少し会話するだけでも辛そうだ。


「ううん……」


そんなのただの偶然だ。


見つけることができて、本当によかったと思っている。


弱っている畠平さんの姿を見ていると、胸が熱くなり、涙が込み上げて来た。


綺麗だった顔の面影は、残されていなかった。


「大志は退学でしょ?」


そう聞かれたので、あたしは涙を押し込んで何度も頷いた。


彼氏の退学が畠平さんにとって良かったことなのか、悪かったことなのか、わからないからなにも言えなかった。


「そっか……」


畠平さんはとても小さな声でそう言い、目を閉じてしまったのだった。