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校舎の中は真っ白で汚れ1つなく、真新しい建物の匂いがした。


「眩しいなぁ」


本当に目を細めながらあたしへ向けてそう言ったのは克己だった。


克己はあたしよりも頭2つ分背が高く、彼女のあたしが言うのもなんだけれど、イケメンだ。


さっきから女子生徒たちがチラチラと克己を見ている。


しかし本人はそんなこと気が付いていないようで、校舎の様子に興味津々だ。


「真奈美の彼氏?」


一緒に歩いていた美文が小声でそう聞いて来たのであたしは頷いた。


「克己。この子武智美文ちゃん。小学校の頃仲が良かったの」


「はじめまして」


美文が克己へ頭を下げると、克己も同じように頭を下げた。


克己の方が人見知りだからとまどっているのがわかった。


「あはは、克己緊張しすぎ」


そう言って克己の背中を叩くと「別に緊張なんかしてないし」と、強がりを言い出した。