社会の適応能力は無いと自負している私でも、最近の若者が度を越えた非常識であることくらいはわかっている。

 そもそも社会の常識事態がまやかしだと開き直っていた私なのだからして、今更開拓してきた若い奴らの社会通念を卑下したところで胃が痛くなるだけだ。


 忘れよう。ビールを飲んで忘れよう。
 後輩がお昼を買う金がないから金を寄付してくれと言ってきた。くれてやろうじゃないか。貸してくださいといっておいて返さないよりは、最初からくれと言われた方が後でやきもきしなくてもすむもんだ。潔いということで500円渡したら苦笑いされた。礼はなし。


 忘れようじゃないか。胃がしくしくするのはきっと気のせいだ。
帰ったらビールが待っている。北海道からの旅行土産にもらった鮭とば齧りながら、今日はワインをなめてもいい。
東京にも撒き散らされた申し分程度の星屑は謙虚に光り、悪くない。この都会に夢を馳せた馬鹿野郎の数だけ瞬き、この都会で夢破れた可愛そうの数だけ消えていく。
 なくなりはしないが増えもしない。私の星は、輝く事もなく闇に埋もれていった。



 それでもいい。前に出れば、馬鹿をみるだけだもの。
 だけどたった一人の人に出会えるならば、星になって流れてみてもいいとは思う。所詮恋なんて、まやかしに過ぎないのだけれども。