リアルの素晴らしさを教えて

約束の時間になったけれど、一向につかない。迷ってしまったようだ。那智に連絡を入れ、来た道を引き返す。
もう、進むのが遅いことは諦めて、大人しく周りの大人たちに着いていく。
折角、頑張って服を選んだのに、その服は汗でぐっしょりと濡れていた。

ようやく、集合場所に着く。いつも髪をゆるくまとめているので、下ろすのを見るのは、これが初めて・・・・・・ではないにしても、違和感があった。
カーキのセットアップが、サイドにつけた金色のピンによく似合っていた。

「おしゃれだね」

その声は、近くの宗教団体の演説にかき消された。


始まるまでの間、夕飯確保も兼ねて屋台をのぞいていると、桜を見かけた。結局、家族と来ていたようだ。話しかけようと思ったけれど、人混みに流されて、それは叶わなかった。