リアルの素晴らしさを教えて

きっと花火大会のことだろう。

「ごめん。私たち二人で行くんだ」

那智が答える。それにしても、いきなりどうしたのだろうか。

「なんで?」

聞くと、桜は茶化すような口調で答えてくれた。

「いや、親に誰か誘って行きなって言われてさ」

そう言った。確かにそう言ったが、私はそうは思えなかった。そういえば、部長・副部長ということもあるのかもしれないが、二人きりで話すことも多かった。二人で行動することも・・・・・・。そのうちに恋が芽生えてしまったとしても、なんら不思議ではない。

“そう”だと考えれば、全て合点がいく。そうか、“そういうこと”だったのか。喜ばしいことだが、ここで茶化してはいけない。思春期の男女だ。ここで茶化してしまっては、恥ずかしがって、または茶化されるのを恐れて、これ以降思うようにアプローチ出来なくなってしまうかもしれない。

だがしかし、もしそうなら、何故桜は私に話してくれなかったのだろうか。那智の親友(?)である私なら、絶対に力になれると思うのに・・・・・・。やはり、茶化されたくなかったからだろうか。

「毎年誰と行ってるの?」

二人きりの会話は、思ったより弾んでいるようだった。そうこうしているうちに、部活動終了の時間になってしまった。課外中は事務室が閉まっているため、施錠を頼むために先生を呼ぶらしい。

二人になったタイミングで私は

「外堀から埋めていくのも、良いものだぜ・・・・・・」

とイケボ風に囁いた。桜が困惑していたように見えたけど、気にしない。私の口元がにやけてしまっていたのも・・・・・・絶対に気にしない。