しゃべるだけ喋った後で、次のクラスの準備があるからと四人は名残惜しそうにしながら席を去っていった。

 ベアトリスは一人残され、じれったさから頭を掻き毟り、またバッドヘアーデーの祟りを再度確認すると、大きくため息が洩れた。

 カフェテリアも気がつけば人がまばらになり、人が去って行った。

 もう誰にも気兼ねがないと、黙々とヤケクソで残りの食べものを口に詰め込んでいた。


 カフェテリアを出て、ベアトリスが見えなくなったところでサラが三人に念を押す。

「いい、このことは誰にも秘密よ。まだベアトリス様は何も知らない。余計なことは言わないように」

 三人は頷く。

「だけど、今日のあの火災警報装置の誤作動だけど、あれベアトリス様を狙っての奴らの仕業じゃないの? ベアトリス様も力を解放されてるみたいだし、なんか危ないことにならないといいんだけど」

 心配そうにグレイスが呟く。

 長い髪を指でカールしながらいじっていた。

「グレイスは心配性で怖がりだもんね。でも私はベアトリス様にもっと近づきたい。危ないなんて言ってられないわ」

 レベッカはチャンスとばかりに握りこぶしを目の前で作りながら気合を見せていた。

 顔にも力を込めて、そばかすが鼻の中央に集まる勢いだった。

「レベッカは後先考えないで突っ走りすぎ。時にはよく考えてから行動しないと、後悔する事だってあるかもしれない。私はまず慎重に行動したいわ。ベアトリス様の周辺をまずはチェックしてからってところかしら」

 ケイトは物静かに言った。

 不意にきらりと光る眼鏡の反射が用心深さを表していた。。

「なんやかんや言っても、皆心の中では仲良くなりたいってことでしょう。それぞれ自分のやり方でアプローチすればいいんじゃないの。まあ私は皆より一歩先に進んでるけどね」

 サラが好きにすればいいと他人事のように言った。

 楽しそうに足取り軽く先に一人で歩いていく。

 後ろで三人は優越感を帯びたサラの発言にむっとするものがあったが、サラに言い返す気持ちは起こらなかった。

 一番短気なサラを怒らしても何の得にもならないと、呆れてお互いの顔を見合わせていた。