4月になったばかりだが、気温はすでに25度越えていた。

 吹き出す汗を、フェイスタオルで、息をふっと吹きながら拭い、この先のもっと暑い夏を思う。

「ダメだ、ますます暑くなる。こういうときは気楽にいかなくっちゃ」

 心だけは軽くしたいとベアトリスは明るく振舞おうと試みる。

 垢抜けはしていないけども、笑顔はかわいいものだった。

 ただ、本人だけが気が付かない。

 そこにその可愛さを認めたくないと他者からの嫉妬があることも。

 消極的ではっきりしない性格がイラつかせ、人を遠ざけてしまう。

 何でも過度の思い込みに自分を縛りつけ、絶えず周りを気にしすぎて悲観的になるところが特に悪い癖だった。

 太ってることも自信喪失につながり、コンプレックスを積み上げれば、代わりに自尊心が失われる悪循環。

 だがそんな自分を助けてくれる救いの友が二人いた。

 少なくともベアトリスはその二人を友だと信じてやまなかった。