「パトリック、ライトソルーション持ってきてくれてありがとう」

「お安い御用です。そろそろやばかったですね。でもベアトリス、何かがおかしくなってるんじゃないですか? 意識を引き出したとき、副作用とか現れないんでしょうか」

「私もはっきりとは分からないんだけど、記憶の闇、ヴィンセントとの意識の共有、そして彼女の本来の力、どれも影響を与える充分な要素が含まれているだけに、 説明のつかない異変が起こっても不思議じゃないわ」

 二人は暫し沈黙する。

 そしてパトリックが腹をくくったように疑問を投げかけた。

「僕たちいつまでベアトリスから真実を遠ざけられるんでしょうか」

「それは絶対に守らなくてはいけないこと。彼女が真実を知ったらもっと混乱させて、そして取り返しのつかないことになってしまう」

「だったら、僕が一生ベアトリスの側に居て、その真実から守ります。アメリアもリチャードもそこまでできないんじゃないですか」

「何がいいたいの?」

「あなたはこの一件が収まれば、ベアトリスを連れてまたどこかへ姿を消すつもりでしょう」

 パトリックの言葉でアメリアは胸の的を突かれたようにはっとさせられた。

 声を発せられず、焦りを帯びた驚きが図星だと知らせていた。