かき乱された心を整理するように、それぞれの週末は羽目を外すことも、目立った事件が起こることも、全くない静かなものの様に思われた。

 だがそれは表面的なもので、確実にそれぞれの思惑はその下で渦を巻いていた。

 コールはホワイトライトの挑発に爆発し、リチャードにも正面からぶち当たる覚悟を決めた。

 そうでもしないと隠れてこそこそ罠を張るだけではホワイトライトなど捕まえることはできないと判断したからだった。

 油断した時を狙う奇襲作戦を企み、それを実行に移す本気の構えを見せ始めた。

 リチャードは仕事仲間からの情報はもちろん、力の弱いダークライトたちに接触してコールの動きを探っていた。

 同じダークライトにつくならどっちが得か、コールに気をつけろと暗黙で自分の力を見せ付けていた。

 アメリアは首の痛みも取れ、心配するベアトリスを押しのけ、仕事の遅れを取り戻すために休日出勤に出かけた。

 何かをしなければ、色々なことで心が押しつぶされそうになっていた。

 パトリックはベアトリスとの適度な距離を保とうと、一人で出かけては頭を冷やしていた。

 そして同時にダークライトによる不穏な動きはないかデバイスを片手に注意を払っていた。

 ヴィンセントはポーションを見つめ、カレンダーと朝日を浴びることができるこの先の天気予報をチェックしていた。

 確実にベアトリスに近づける日を検討し、その時のためにどうすべきなのか今後の対策を練っていた。

 肝心の中心人物のベアトリスは誰も居ない家で、スナックを片手にテレビを観て呑気に過ごしていた。

 自分が原因で周りがそれぞれの思惑で動いているなど知る由もなかった。