きみが幸せなら、僕も幸せです。



「パパそれ花の!」

拾い上げると、目の前まで二人が来てたので、頭を差し出す花にそれを被せる。

ありがとうと言いながら僕の右隣にちょこんと座った。


「ねえ、パパ何してたの?」

「んー、しいて言うなら昔のことを思い出してたかな」

興味をひく返答じゃなかったからか、へーと言ってベンチからずり落ちるように降りた。

入れ替わるように、左隣に座る彼女を横目で、声をかける。


「今、幸せ?」

「何をいきなり」

「いや、懐かしいことを思い出してね」


何よそれ、と笑いながら駆け回る花に目をやる彼女。

未だ眩しい笑顔は健在だ。


「もちろん、あなたと花がいて、毎日が幸せよ。あなたは?」


ああ、やっぱりそうだ。

心の一番深いところから、じわっと温かい何かが広がっていく。




「きみが幸せなら、僕も幸せです」

明日、地球が滅んでいいくらいに、ね。




fin