恋は微熱と似ていると思う。


風邪は引いてないはずだけど、あの人の事を考えるとなんだか体が熱くて、私はベッドに横になりながら体温計を脇に挟んだ。


ピピピッと音がして体温計を見てみるとやはり、熱はない。当然か。これは恋の病なのだから。


むくっと起き上がってカーテンを開くと、朝の日差しが部屋いっぱいに降り注ぐ。


んあーと私がベッドの上で思いっ切り背伸びしていると階段下からママの声が聞こえる。


「まひる、起きなさい遅刻するよ!」


ふあーいと欠伸しながら私は返事して、洗面所へ行いってドライアーでなんとか寝癖を直すとキャラメル色の高校の制服に着替えた。


「いただきまーす」


朝食は目玉焼きとトースト。ほんとはコーンポタージュがあれば嬉しい。けど私のママは料理が得意な方じゃないから仕方がない。


きっと私も結婚したら朝は目玉焼きとトーストになるかもな、なんて考えたりして、旦那様はやっぱりあの人?なんて油断するとつい好きな人の事を考えてしまってにやにやしてしまう。


「何笑ってるの?」


向かい座ってトーストをかじるママが言った。


「え、笑ってた?」


「なーに。どんないい事があったかママにも教えてよ」


「いい事あったわけじゃないけどね。ちょっとね」


と、時計を見ると登校時間が迫っていた。


「あ、やばい!話は帰ってからね」


「ええ?」




「いってきまーす」


自転車に跨がると海の見える坂道を下った。

海面は朝日が反射してキラキラしている。


せっかくセットした髪も潮風で崩れたけど、まぁいいかと寛容になれるくらい気持ちのいい風で、私はその風に乗って自転車のペダルを漕いだ。