「寒っ···」
私は駅に着くと、マフラーに顔を埋めた。
空は澄みきっていて、11月の空気を運んできている。
装備不足で寒いんだけど、私はすごく幸せ。
今、待っている人が大好きな人だから。

「美濃」
「優和」

後ろから聞こえる、優しくて低い声。
私が今、1番待っていたものだ。
早く返さなきゃ!
そう思って早く言ったのに、寒すぎて、声が貼り付いた。
ああー、恥ずかしい。
思わず目を伏せる。
···なのに。