それからも遊んでそうな女ばかりが寄ってきて嫌気が差していた時に沢田莉奈に出会った
皆で飲みに行った時に「今まで付き合ったことがないの」と恥ずかしそうに言う沢田に惹かれて行った
今思えば、純粋な沢田に冬華を重ねていたのかも知れない
初めてであろう沢田には急がずゆっくりと進んだ
沢田と付き合い始めたのは出会ってから1年
冬華と別れてから2年の月日が経とうとしていた
沢田と付き合い始めて一ヶ月位経ったとき
沢田からそっと、手を繋いできた
ゾワリとせりあがってくる感覚
ぐっと抑えて「どうした?」と尋ねれば
「今日、夏月くんと一緒にいたい」
その意味がわからないわけない
冬華と別れてから2年
彼女はいたが全く無かったこと
この、2年の間誰ともキスどころかセックスもしていない
この1年は沢田と付き合う前の段階だったし……
沢田は初めてだ
そんな急がなくていい
無理しなくていい
俺は沢田の手をそっと離して、
「ゆっくりでいい、急がなくていいよ」
そう言うと、沢田は少しだけ驚いた顔をしたけど
「うん」と小さく頷いた
それからも、デートを重ねて
何故だがいつも、自分の手はポケットの中
気付きたくなかった
沢田は初めてなんだから
急がなくていい
そう思い込んで、ホッとしていたんだ
それを、思い知らせたのは大学からの友人の陽太だった

