「付き合ってもう一ヶ月よ?
キスどころか手も繋がないなんて!
そんなの付き合ってるって言える?子供じゃないのよ!」

「嫌なら別れよう
俺は最初に言っただろ
触れあわないと…………」

「っっ!だ、だって本当にそうだとは思わないじゃない!
好きなら触れたいって思うでしょ!」


"好きなら………だろ?"と言いそうになってグッと堪えた
そんな事言えば、火に油を注ぐことになるのは俺でもわかる
面倒臭い事になることも………

触れられた手を今すぐ洗いたい位だ


「どうする?別れるか?自慢はもう充分出来ただろ?」

「っっ!でも!たった一ヶ月で別れるなんて!」


付き合ってすぐに、散々「彼氏なの」と色んなやつに会わせられた

会ったやつらは皆、顔を赤くして、目の前の女の顔は自慢げに笑っていた

その意味はよくわかっている

人より良いと言われる容姿をしていることは自覚しているから


「夏月ってもっと遊んでるんだと思ってた
つまらない男なのね」

「そうだよ、俺から別れを言った方が良いのか?」

「っっ!別れましょう!」

「あぁ、」


最後までプライドの高い女
俺から別れを言われるのは癪らしい
まぁ、そんな女しか俺には寄り付かないからな


女はふんっと鼻を鳴らして立ち去った

やっと、静かになった

目の前のコーヒーは少しだけ温くなっていた
天気が良かったのもあって外のカフェスペースにしておいて良かった