どういうこと?
何があったの?
目に入る情報量に頭の回転が追い付かない。
りーさんは!?
どこにいるの!?
「りーさん! りーさん!?」
慌ててりーさんを探す。
だけど、大声で呼んでも何も反応がない。
どこにいっちゃったの!?
どこかに出掛けたとは考えづらい。
りーさんがお店をこの状態のまま放っておくとは思えない。
空き巣? いや、でもここまで関係ない所を荒らすだろうか。
分からない。
その時、この二階がりーさんの自宅になっていることを思い出す。
――タッタッタッ
自分の足音だけが聞こえる。
その音に合わせて心拍数も上がっていった。
――ガチャッ
「っ……」
何、これ……。
それは、あまりにも衝撃的な光景だった。
下とは比べ物にならなかった。
窓が割れ、白い壁紙に赤黒い血の跡が着いている。
荒れ果てた薄暗いその部屋の隅に、りーさんの姿があった。
「りーさんっ!」
彼女は床に座っていた。
項垂れ、腕は力無く床に圧力を加えている。
近付くに連れ、よく見えるようになる。
「りーさん!」
彼女の顔や体には、複数の殴られたような内出血の跡があった。
血も出ている。
意識はない。
「りーさん! しっかりして! ねえ!」
肩を揺するが、うめき声ひとつ立てない。
その時、りーさんの手の中のものに気付く。
漫画でしか見たことは無いが、これは……。
妊娠検査薬……?