きっとみんなはいつもの練習場に戻っているだろう。
私は心菜と自転車を走らせてそこを目指す。
私と心菜は練習球場の裏に自転車を停め、中に入る。
みんな、試合のあとはいつもこの球場のベンチにいる。
そのことは2年前も今も変わらないはずだ。
ベンチの人影の数と聞こえる音が比例しない。
「お疲れ様です。」
私は物音1つしないベンチに顔を覗かせた。
「「「由羅姉ちゃん!」」」
私の顔を見たみんなの顔は少しさっきよりも明るい気がする。
「おにぎり持ってきたから、食べよ。
泣いてばっかじゃ進まないよ。」
私は心菜と作ったおにぎりを配った。
「そんな、辛気臭い顔しないでよ。
悔しいのもわかるけどそれじゃ前に進めないのはみんなが1番わかってるはず。
泣いたっていいよ。
でも泣いたら前を向かなきゃ。
そうじゃなきゃ、強くなれなくてまた負ける。
そりゃ、春の大会は中2組には最後だけど、まだ全国大会はあるでしょ?
今度はそこで勝てばいい。
土の味を知らない奴らに勝てるわけがないでしょう?
みんな、負けてばかりのチームじゃないでしょ!
そんな人生終わった、みたいな顔する暇あったら今日はさっさと帰って休んで。
また明日から頑張ればいいの!
だから!
そんな顔やめて前みたいに楽しそうにおにぎり食べてよ、ね?」
みんなが涙を流しながらおにぎりを頬張るのを見守っていた。



