うちではお母さんの負担を減らすために足枷のついた私が支えている。
2人が外へ行くために。
枠から出た人がまた枠を作る。
そんな枠の集合体が世間なんだと思う。
「この前ね、カフェにコーチと監督が来たの。
2人とも変わらなくて嬉しかった。2人はみんなも変わらないって言ってたよ。
無理に変わる必要なんてない。
自分が必要とするものが変わればその人は変わると思うんだ。
でも今、類に必要なものは勉強?
確かにある程度は必要だよ、でもそれが本当に1番?
必要なものなんて今わかるわけない。だったらやりたいことやって探して悩んで...それでいいの。
世の中にはプロとして生計を立ててる人もいるじゃない?
コーチや監督のような人もいる。
類にとってはそれも1つの選択肢だと思う。
高校に入って甲子園行って、プロになって。
それを生業にするのもありだよ?
私もお母さんもまずは類の気持ちを大事にしたい。
お金はその後だから。
無理して変わらないで。
自分の気持ちを大切にして。」
私の言葉を聞く類の目に涙が溜まっていく。類は私に背を向けた。



