「類?なんかあった?」



「...別になにも。」



しばらく空いて返ってきた返事はいつもよりも素っ気ないものだった。



「そう、ご飯用意するけどいい?」



その問の答えは扉の向こうから返ってはこなかった。



そう、それなら作ってやろうじゃない。



私は類に対する謎の対抗心を燃やして階段を降りた。



「さて作りますか。」



私は類の好きな鶏の竜田揚げを作り始めた。



「食べてて。」



私は出来上がった食事を二人分ダイニングテーブルに並べ、ひとつをお盆に乗せて運んだ。



「類。晩御飯置いとくから食べてね。」



私はそれだけ言って晩御飯を置いて下に戻った。



「変な類。」



「きっと、類にも何か思うことがあるんだよ。中2だもん、そういう年齢なんじゃない?」



その日、類が私たちに顔を見せることはなかった。