相手が動かないから、再度言う。 「キスしてもいいですよ?」 小牧さんの目が見開いた。 よしよし。 別にファーストキスでもないし、これで平和な社会人生活に戻れるのなら良しとしよう。 一度きりの関係。私たちは大人だからこれくらいーー 「…割り切った関係なら、欲しくはない」 すっと私から離れた小牧さんは、笑った。 「チャイム鳴りましたし、お昼にしてもいいですか?」 「あ、はいどうぞ…」 私の選択が誤っていたことを証明するかのように、彼は寂しそうに笑った。