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小さく頭を下げた子を乗せた車は、駐車場を囲む垣根の外に出て、見えなくなった。

私は白衣のポケットに手を入れ、肩の力を抜く。

「良かったね、エリ。あなたの残したかったもの、ちゃんとあの子の中に残ってたよ」

目に見えなくても、そばにいると思い、呟く。

湖へと繋がる小道には、藤の花が咲き誇っていた。






【完】