キラキラと瞳を輝かせて見つめられるたびに、居心地の悪さを感じてしまった。それに……

「カーライル子爵も自慢の従姉妹を随分と大切にしてるのね」

意図したものではなかったが、グレースの口から出てしまった言葉が思わぬ苦さを含んでいた。それはきっと彼から受けた視線への苛立ちが表れたものだったが、ヴェネディクトは違うふうにとったらしい。

「……グレースはカーライル子爵がイーディス嬢を大切にしてるのが不満なの?」

一段低くなったヴェネディクトの声にはっと窓から視線を戻したグレースの目に映ったのはしかし、いつもと変わらない柔らかな笑みで。不穏に聞こえた声音は気のせいだと思う。

「そういう意味じゃないわ。ただイーディス様はご自分をひとりっ子だと寂しがっていたけど、お兄様がいるのも同然だと思ったの」

「そうだね。小さい時は一緒に遊んだろうし、今もカーライル子爵はレディング伯爵の仕事を手伝う事も多いしね。年の離れた兄妹みたいな感覚なのかも」

「年の離れた?」