「ありがとう、グレース」

ヴェネディクトはホッと息を吐き、顔を上げて少し笑った。笑顔はぎこちないけれど肩から力が抜けて、少し安心してくれたのが分かる。

「僕がどんな時もグレースの味方だっていうのは本当だよ。それだけはこれまでもこれからも変わらないし、信じて欲しい。でもね、今回の件はそれだけじゃないんだ」

「それだけじゃない?」

「うん。僕の望む未来へ誘導してるっていうか。グレースが勘違いしてるのも訂正せずに、むしろ利用してたんだ」

そういうとヴェネディクトは大きく息を吐き出して、グレースの瞳を強くて見つめた。

「愛してる。グレース、僕はずっと君を愛してるんだ。ほんの小さな頃から君を姉だと思った事なんてないよ。僕にとってはずっとお隣の素敵な幼馴染みで、片思いの相手で、誰よりも守りたい女性なんだ」

「ヴェネディクト……」

真摯な告白過ぎて、グレースは茶化す事も否定する事も出来ない。ただその情熱の迸る熱い視線を受け止めるので精一杯だ。

「君に一人の男性として見てもらいたい、僕を受け入れて欲しいってずっと願ってたよ。でも、ずっとグレースを見ていたからこそ、ただ告白するだけではダメだって事も分かってた。だから君を養えるだけの資産を得る為に努力しながら、ずっと待ってたんだ」