現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない

「グランサム公はさ、質実剛健だし無駄遣いは嫌いだからケチって言われたりするんだ。でも僕に言わせれば、それはケチじゃなくて賢いお金の使い方が出来るって事なんだ。実際、領民の為にはお金を惜しまない。領地の整備や教会の修繕に費やした金額を知ったら、社交界の奴らも驚いてひっくり返るんじゃないかな」

グランサム公爵を尊敬し、そんな彼に後継者に指名された事に誇りに思っている。

ひしひしと感じられる想いにグレースの胸も熱くなる。

「ヴェネディクトもそんな領主を目指すのね」

「違うよ。目指すのじゃなく、なるのさ」

もう一度ヴェネディクトが悪戯っぽく片目をつぶった時、馬車がゆっくりと止まった。

「着いたみたいだ。さあ、降りようか」

差し出された手にグレースが手を重ねると、きゅっと握り返された。