「ありがとう、先生」 私は泣き腫らした顔で笑う。 「あとは私と奏の問題だから、二人きりにしてほしいの」 そういうと先生は頷く。 私は奏の手を離して向き合い、彼の目を真っ直ぐ見つめる。 「二人でゆっくり話したい。場所を変えよう」 「……」 奏はなにも言わずうつむく。 私はそんな奏の背中をゆっくり押すと、奏は力なく歩き始める。 私達は先生に背中を向けて、ホテル街を立ち去った。